船木 美絵子(ふなき みえこ)さんにインタビュー【2018.11.7】
大阪芸術大学デザイン学部を卒業後、デザイン会社で5年ほど勤務。30歳でグラフィックデザイナーとして独立
【今のお仕事は具体的にどのようなことをしていらっしゃるのですか?】
紙媒体のデザインをしています。飲食店のデザインを中心としたデザイン事務所で働いていたので、ポスターやショップカード、ロゴマークなどの販促物を中心にしていて、その他に大学の情報冊子や小売店のカタログデザインなどもしています。
家業で印刷会社をやっていて、自宅の横に工場があって職人さんがいる環境でした。そこにはたくさんの色見本があってそこで工作をしたりして遊んでいたんです。今はほとんどがオフセット印刷というものなんですが、うちは祖父の代からの工場で、活版印刷という凹凸がある和紙や特殊な紙にも印刷できる特殊印刷を行なっていたんです。そんな環境の中で育って、デザイン画に興味を持ち、スケッチをしたりしていました。それで、高校生のとき「美大に行きたい」って思ったんです。
【船木さんは自分の好きなことをお仕事にされていらっしゃいますが、やりたくないと思ったことはありますか?】
好きなことをやっているがゆえに、仕事としてやっていると嫌になることもありますよ。私は、妥協してこなすだけになってしまうのはダメだと思っているので、モチベーションが下がってしまったときは、美術館に行ったり、家具に触れたり、映画を観たりと自分の好きなものに触れるようにしています。
【感性がとても大切ですね。デザインを作るときはクライアントさんとどのようなやりとりをされるんですか?】
例えば、新しい会社を立ち上げた方からデザインを頼まれたときは、まず、コンセプトや思い、ビジョンについてしっかり聞きます。そこから、その方の持っているイメージを掴むんです。その上で名刺やチラシを作る際の色、文字などを提案して、それによって会社のコンセプトがお客様に伝わるかということを考えながらやりとりをして作り上げていきます。
【目に見えない思いを、感性によって形に変えていくお仕事ですね。この仕事をやってて良かったなと思うのはどんなときですか?】
クライアントさんが喜んでくれることもそうですが、お客様が私の作ったデザインを見て購入したりしてくれたときが一番嬉しいですね。
【好きなことを仕事にするのはとてもやりがいがあると思うんですが、それが見つからない方にアドバイスするとしたら何かありますか?】
みなさん、好きなものや好きなことはあると思うんですね。料理、掃除、人と話すこと、喜ばせることなど……。あと、子どものころのことを掘り下げてみると見つかったりするのかなあと思います。
好きなものに目を向けると好奇心や探究心が出てくると思うんですね。結果、それがやりがいに繋がるみたいな。
【小さいころはどんな子だったんですか?】
頑固でした。服や靴選びにこだわったりして、好みがはっきりしていましたね。家でひとりで物づくりをしていて、社交的ではなかったんです。小学生のころはただ漠然と「世界に羽ばたく仕事をしたい」とか「水泳でオリンピックに出たい」とか言っていましたが、他の子を見て自分のレベルを知り、水泳で世界に羽ばたくことは諦めました(笑)。中学生、高校生になるに連れ、だんだん社交的になっていきましたね。
【なるほど(笑)。船木さんの長所と短所は?】
長所は「人見知りしません!」
人の良いところを見つけるのが得意で、人の意見は否定しませんね。人の話を聞くのが好きです。
みんな違う感覚を持っていて、それがすばらしいことだと思うし、聞いていて刺激になるので楽しいんです。
短所は、飽きっぽいところですかね。好みがいろいろ変わっていくんです。それと、神経質ですね。細かい部分が気になるんですが、これはデザイン職には向いているらしいですが。
【最後に、この先のプランがありましたらお聞かせください。】
グラフィックデザインの仕事は、商品や店、会社を通して「人を応援する仕事」だと思ってやっているんですが、今後は、誰かのためだけではなく、自分の作りたいものを作って発信したいなと思っています。それが自分の店なのかプロダクト(商品)なのかはまだ具体的には決めていないんですが、自分発信で作り出したものを誰かに伝えていきたいです。
自分が美しいと思うものを追求していきたい。自分の感性や感覚を信じているので、それを提供していくことによって「いいな」って思ってもらえると信じています。もうすぐ40歳になるのですが、ここ数年のうちには具体的に動き出そうと考えているところです。
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